Interview開発ものがたり

込めた想い

「Pプラス」・「Pスタディ」の開発にはたくさんの想いが込められています。
商品開発に関わった4人の物語をご紹介します。

情報デザインとアート。その違いを理解して気づいたこと

私は編集担当として、「Pプラス デジタル・情報活用力テスト(以降、「Pプラス」)」の問題や、「Pスタディ デジタル・情報活用力学習プログラム(以降「Pスタディ」)」の動画等の制作を担当しています。情報活用力の問題や教材制作は初めてだったこともあり、自分自身がまず情報活用力について学ぶところからのスタートでした。ただこれは、これから情報活用力を学ぶ生徒の気持ちに近いというメリットもあると思い、参考文献を何冊も読み、フォントの選び方ひとつに至るまで、よりよくなるよう検討を重ねました。

特に難しいと感じたのは、情報デザイン領域担当として、「デザインはアートとは異なる」と理解すること。明確な意図を持って行われるデザインは、受け手に解釈がゆだねられるアートとは性質を異にするものだと先輩方から教えられたのです。しかし、当初はうまく飲み込めず、おのずと考えた問題もパッとしないものでした。

情報デザインとは、身の回りの情報を分かりやすくデザインして相手に伝えるスキルのこと。正しく身につければ多くの人にわかりやすく情報を届けられる一方で、たとえ悪気はなくとも、結果的に誤解を招く表現をしてしまう可能性もあります。しかし残念なことに、身の回りの状況を見てみると、情報デザインを適切に活用できていないものが多く目につくことに気づきました。その代表例が「にせグラフ」です。

▼紹介の問題は一般公開用のお試し問題です。実際の問題とは異なります。画像をクリックするとお試し問題へ遷移します。

「にせグラフ」の作問体験。取り組んだ子ども達の気づきのきっかけに

「にせグラフ」は、グラフの一部が誇張されており、あたかも特定の数値が大きく、特定の効果があるかのように見えてしまうグラフです。グラフの加工・表現方法によっては、悪気はなくても不適切な表現になり、結果的に誤解を生むような情報を広めてしまう可能性があります。私はこの作問に携わることで、このことは学ばなければ意識しづらいものなのだなと感じました。

情報デザイン、そしてもう一つ担当している情報モラル・セキュリティの学習の目的は、子ども達自らの生活を守るのはもちろん、誰かを傷つけることなく適切な情報発信ができるようになることだと思います。「にせグラフ」の問題は、私が作問過程で得た気づきを、子ども達にも与えるきっかけになるんじゃないかと思っています。

テストの「Pプラス」、教材の「Pスタディ」の違い。それぞれで大事にしたこと

「Pプラス」はテストですので、正解が一意に定まる必要があるのですが、問題を練っていく段階では、先生から「こういう条件を想定すると、こちらの選択肢も正解になるのでは」のようにご意見をいただき、詰めの甘さを痛感したこともありました。かといって踏み込んだ説明をしすぎると、答えを明示しているも同然になり、考える余地が残されない。妥当性と一意性を担保しつつも、思考の余地を残すバランス調整には最後まで頭を悩ませました。

ただ、「Pプラス」の検証テストでは知識・技能を元に思考する部分が大きいため「難しい」と言う子はいましたが、頭をひねって考えるプロセス自体を楽しんでくれる子もいました。CBT(※)型テストという目新しい形式もあいまって、ワクワクしながら取り組んでくれているようで嬉しかったです。
※Computer Based Testingの略。コンピュータ上で実施するテストのこと。

そして、教材の「Pスタディ」制作にも参画。ひとつの答えに辿り着いてもらう「Pプラス」に対し、「Pスタディ」の目的は「多様な議論や思考のきっかけを生み出す」ことです。そのため、決まった答えを提示するのではなく、多角的に考えたり、生徒同士で議論を深めたりしてもらうための工夫が必要です。このため、「Pスタディ」の制作は、「Pプラス」とはまた違った苦労がありました。今も、勉強の毎日です。

こぼれ話

学生時代は数学専攻でした。数学の問題を解くには徹底的に考え抜く必要があり、
つらいところもあるのですが、楽しくもありました。教科「情報」も、その時の体験のように、
「Pプラス」「Pスタディ」との出合いをきっかけに、子ども達が少しでも
学びを楽しんでくれるといいなと思って制作しています。
また私自身、業務を通じて情報活用力を学ぶようになって、仕事の進め方が
効率的になったり、情報の受発信を意識するようになったりするなど、
助けられている部分も大きいと感じています。

※ここに記載されている内容、所属等は2021年9月1日時点のものです。

Episode | Nagao Rin