Interview開発ものがたり

込めた想い

「Pプラス」・「Pスタディ」の開発にはたくさんの想いが込められています。
商品開発に関わった4人の物語をご紹介します。

大学共通テスト「情報科」新設。学校現場では戸惑いの声も

私は企画担当者として、学校や自治体の先生と直接コミュニケーションを取り、さまざまなお声を聞く立場にあります。その中で見えてきたのは、先生方が非常に戸惑っておられること。GIGAスクール構想(※)が進み、小中学校ではICT環境が整備され始めているものの、「整備された機材をどう活用すればよいのか、頭を悩ませている」とおっしゃる先生が少なくありません。※文部科学省が推進する、1人1台端末と高速大容量の通信ネットワークを一体的に整備し資質・能力が一層確実に育成できる教育環境を実現する構想のこと。

そして、2022年度には高校で「情報Ⅰ」が必修となり、2024年度には2025年度大学共通テストの科目として「情報」が新設されます(※)。これまで、高校の教科「情報」では、「専任の先生が学校にいない」「大学入試にあまり関係ない」などの理由から、兼任の先生が指導を担われるケースがとても多かったのですが、「新学習指導要領」改訂で学習内容が高度化し、大学共通テストに加わることとなり、ご指導を担われる先生方は大きな変化への対応が求められます。でも、どうやって?というのが先生方の大きな課題であり、我々で先生のお困りごとを解消することはできないか、と考えるようになりました。※2022年7月30日文部科学省より発表。

そして、「情報科の充実」に悩んでおられるのは現場の先生だけではありません。学校長や教科主任の先生など学校全体のことを考えるお立場の先生方にとっても、教科「情報」およびICT環境の整備・充実は悩ましい課題だと伺いました。具体的には、「目標設定や効果測定、評価の指標作りが難しい」とおっしゃるのです。例えば、何かICT機器・教材を導入された場合に、それがどの程度の効果をもたらしてくれたのかを可視化しづらいと。これまでは生徒にアンケートをとるなど、主観指標で議論を進めてこられたそうなのですが、「やはり客観指標も欲しい」というのが先生方のお困りごとでした。

謙虚さゆえに広まりづらい「すぐれた実践」に光を当てたい

このようなお声を受けて企画・開発したのが、「Pスタディ デジタル・情報活用力学習プログラム(以降「Pスタディ」)」と、「Pプラス デジタル・情報活用力テスト(以降「Pプラス」)」です。

まず、「Pスタディ」は、現場の先生が抱える、「生徒が興味を持ちやすい授業を実施したい」という課題を解消できるように設計しました。思考力等を重視する新課程を踏まえた内容で、生徒の興味関心を引き出すコンテンツを用意しているので、授業開始前から授業中、後まで、自主的な学びをサポートします。先生が感じられる授業準備の負担を減らし、生徒の関心をさらに高める、そうした教材として使っていただけるよう、日々精査を重ねています。

一方の「Pプラス」は、「生徒ひとりひとりの情報の授業で学習した内容の定着度を確認したい」「授業実践・ICT機器導入の効果を客観指標で確認したい」というお悩みの解消に寄与できる商品として開発しました。問題内容は新課程を踏まえておりますので、授業の取り組みの定着度を測り、年間の指導結果を検証するためのデータとしてお使いいただけます。CBT(※)型テストですので、校内での実施が手軽で、準備のお手間を取らせません。※Computer Based Testingの略。コンピュータ上で実施するテストのこと。

「Pプラス」を通して学習結果を可視化すれば、先生方の素晴らしい取り組みを知ってもらうきっかけにもなります。かねてより、先生方の課題として、「先生同士の交流が少なく、すぐれた授業実践を知る機会がない」というお声を伺っていたのです。「Pプラス」というテストがあれば、すぐれた実践を行っている先生について、「このクラスは、『情報デザイン』領域の点数がとても高い」といったように可視化することができます。客観的な数値データを残すことで、結果的に、先生間の交流、そして生徒全体の成長につながるのではないかと考えました。

変化を迎えた学校現場にご活用いただきたい「Pプラス」「Pスタディ」

「Pプラス」「Pスタディ」の内容は、社会との繋がりを強く意識しながら設計されています。それぞれの題材が今を生きる子ども達が実感を持って取り組みやすいものになっているのが特長です。学習の個別最適化と同様に重視されている「課題解決型学習」の素材としてお使いいただくこともでき、これからの時代の学校教育にもご活用いただける存在になるのではないかと考えております。

「Pスタディ」を通じて奥深い議論のきっかけにし、そして「Pプラス」の結果により、先生のすぐれた授業実践に光を当てたり、生徒の普段見えない強みに光を当てたりといった手段としてご活用いただきたいと思っています。デジタル・情報活用分野に高い関心を持つ子どもや、素晴らしい実践をされている先生方の活躍、活動に貢献できるのであればこんなに嬉しいことはありません。

こぼれ話

「Pプラス」の検証テストのとき、テストに取り組んだ生徒が「脳が疲れた!」「思ったより難しい」と言い合っているのを見て、心の中でガッツポーズしました。 知識の定着度だけではなく、思考力を問うことを目指す商品コンセプトが実を結んだように感じ、とても嬉しかったですね。

※ここに記載されている内容、所属等は2021年9月1日時点のものです。

Episode | Saiki Motoaki