Interview開発ものがたり

込めた想い

「Pプラス」・「Pスタディ」の開発にはたくさんの想いが込められています。
商品開発に関わった4人の物語をご紹介します。

教科「情報」の多くは兼任で指導。専門外教科として準備に課題

「新学習指導要領」は、これからの時代、情報活用力は読み書きと同じくらい大切になるというメッセージと読み取れます。しかし、文部科学省のデータを見てみると、多くの学校では数学など他教科との兼任で教えていらっしゃる先生が多いようなのです。

そのため、現場の先生にお困りごとをたずねると、限られた時間の合間を縫って、本来の専門とは異なる授業の準備をするのは、実務的にも、心理的にも、ハードルが高いというお声が多く寄せられました。

それならば、生活の実例に根差した題材を多く含ませた、生徒が自分事として自ら積極的に使える教材をご提供することで、結果的に先生のご負担を軽くできないか。おおよそこのような背景から、「Pスタディ デジタル・情報活用力学習プログラム(以降「Pスタディ」)」の企画・制作が始まりました。

「欲しいのは『出来合いのお弁当』じゃない」目が覚めた先生からの言葉

「Pスタディ」の開発にあたり、私の心に深く刻まれているエピソードがあります。

家庭科との兼任で情報科の指導にあたられている先生にお話を伺ったときのことでした。「どのような教材があれば、先生の助けになりますか?」とたずねると、先生は、授業をお弁当に例えてこうおっしゃいました。

「私たちが求めているのは、『これさえ食べさせておけばOK』という、出来合いのお弁当ではありません。ハンバーグや煮物といった、お弁当を構成する具材なんです。副教材を取り入れるのは、『お肉の下ごしらえが大変だから手伝って欲しい』という意味。お弁当作り自体は、私たちプロに任せてもらいたいのです」

かつての私は、先生方のお困りごとを減らしたい気持ちから、つい「出来合いのお弁当」のような教材を作ろうとしていました。しかし、先生方が求めておられるのはそうではなかった。オリジナルのお弁当を作るための具材、つまりは、授業の内容を豊かにする材料だったのです。

それから私は頭を切り替え、今では、あくまでも「具材」を作るつもりでプロジェクトを進めています。あのとき、本来の役割を教えてくださった先生には、感謝してもしきれません。

現実に即した場面をふんだんに盛り込んだ「Pスタディ」

情報活用力は、学んだ結果がどう役に立つのかがハッキリとわかる力です。今や、情報の活用は生活のあらゆる場に根づいており、大好きなバンドのライブチケットひとつ取るにも、ネット上で情報収集し、必要な手続きを行わなければなりません。また、コロナ禍や災害といった特殊な状況下では、「デマや不正確な情報に踊らされない、自らも発信しない」姿勢・態度が問われます。

先生も生徒も、実際に求めているのは、生活に根差したツールの具体的な使い方や注意点である、という現実がありました。そのため、「Pスタディ」には現実に即した場面をふんだんに盛り込んでおり、取り組んだ生徒たちが実感を持って議論できるよう工夫しています。

お弁当の例に立ち戻れば、学校の先生方は、オリジナルの授業=おいしい食事を生み出すプロ。そんな「三つ星シェフ」のお弁当作りを支援できれば幸いですし、「お弁当を食べて」育った生徒達が、新しい社会でのびのびと活躍してくれればこの上なく幸せです。私たちの作った「具材」が全国の先生というシェフの手にかかり、どのような素晴らしい「お弁当」になるのか、今から楽しみです。

こぼれ話

コロナ禍の当初、リモートでの社員同士のオンラインコミニュケーションは、
特有の難しさを感じました。在宅勤務が続く中、つい最近まで元気だった人が
落ち込んだ感じに変わっていることがあり、オンラインでは気づくこと、
フォローすることの難しさを感じたこともありました。
デジタル時代の働き方や、オンラインでのコミュニケーションの取り方について、
自らも学んでいかなければ……と痛感しました。

※ここに記載されている内容、所属等は2021年9月1日時点のものです。

Episode | Siroto Taisi