動画の仕組み

今回はコンピュータにおける動画の表現と,デジタルデータの圧縮と特徴について学びましょう。

はーい。

頑張るぞ〜!

まず動画について学びます。 最近,動画を使ったサービスが普及してきました。 動画の配信・共有サービスや,スマートフォンで撮影した動画を編集できるサービスなどがあり,映像をとり,編集することがだれでも簡単にできるようになりました。

私もスマートフォンでよく動画配信をみます!

いいですね!このように動画サービスが普及した理由には,コンピュータの性能が飛躍的に上がり,スマートフォンのような小さな端末でも,きれいな動画を撮影・視聴できるようになったことが挙げられます。では,コンピュータは動画をどう表現しているのか確認しましょう。

はーい。

2人はパラパラ漫画をみたことがありますか?

あります!ノートのすみに少しずつずらしながら絵を描いた後に,ページを速くめくると,その絵が動いているようにみえるやつですよね。

そうそう。描くのが大変だけど,面白いよね。

はい。そのパラパラ漫画のように,デジタル動画では,たくさんの画像を素早く切り替えることで動画を表現しています。この動画を構成している1枚1枚の静止画像を「フレーム」といいます。そして1秒あたりのフレームの数を「フレームレート」といいます。

なるほど〜。

fpsという言葉を聞いたことがあるのですが,それも関係ありますか?

fpsはframe per secondの略称で,フレームレートのことを指しています。 一般的に30fps程度のフレームレートであれば,滑らかな動画になるとされています。 映画のフレームレートは24fpsです。テレビやゲーム,カメラなどのフレームレートを調べてみてみるのもよいでしょう。ゲームのフレームレートは高いものもありますよ。

へー。fpsってそういう意味だったのか。

では実際に,フレームレートが違うと動画のみえ方がどのように変わるのかを確認しましょう。下のツールをみてください。ここにはフレームレートが違う動画が用意してあります。それぞれの動画をみて,どのようにみえ方が違うのかを確認してください。

動画の仕組み

フレームレートが低いと,動きがカクカクして気持ち悪いね。

フレームレートが高いと,違和感なくみることができるね。

はい,フレームレートが動画の品質に影響することがわかりましたか? 問題で確認していきましょう。

assignment確認問題

1フレームの画像のデータ量が2MB,30fps,5分間の動画があります。 動画を圧縮しないで保存する媒体(メモリーカードなど)の容量として, この動画を格納できる最低限の容量の媒体はどれですか? 一つ選んでください。

  • label_outline4GB
    not_interested 不正解!

  • label_outline8GB
    not_interested 不正解!

  • label_outline16GB
    not_interested 不正解!

  • label_outline32GB
    thumb_up 正解!

    30fpsは1秒当たりのフレーム数なので,5分間のデータ量では分→秒の変換が必要。 また,選択肢はギガバイトなので,1GB=1024MBを計算する必要がある。 したがってデータ量は 2MB x 30 x 5 x 60 ÷ 1024 = 約17.58GB となる。 16GB以下の媒体では1枚で格納できないので,この選択肢のなかでふさわしい媒体容量は32GBとなる。

動画の圧縮

さて,デジタル動画はたくさんのデータを必要とします。スマートフォンで動画をみていると,すぐに通信規制がかかってしまうのは,これが原因です。

たしかにそうですね。

Wi-Fiのあるところでしか動画はみないようにしているよ。

動画のようにデータ量が大きいものを,画面の解像度を保ちながら容量だけ小さくすることを「データの圧縮」といいます。 動画を圧縮する方法は大きく分けて二つあります。 一つめは,フレーム内圧縮と呼ばれるものです。 フレーム内圧縮は,動画を構成するフレームを,1枚1枚圧縮していく方法です。 こうすることで,全体の容量を減らすことができます。 二つめは,フレーム間圧縮です。 フレーム間圧縮では,フレームの間で変化した部分だけを記録する方法です。 下の図では,列車だけが変化しているので,列車を記録しています。

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リンク

なるほど〜。

二つの方法でとった動画に違いはあるのですか?

それでは,実際にみてたしかめましょう。下のツールをみてください。ここには,フレーム内圧縮した動画と,フレーム間圧縮した動画を載せています。この動画をみて,二つの圧縮方法の違いを確認しましょう。

動画の圧縮

フレーム内圧縮

7.1MB

フレーム間圧縮

6.7MB

うーん。あんまり変わらないような気がするなぁ。

たしかに,どちらも同じような気がします。

はい,目で確認すると,どちらも同じようにみることができますね。 しかし,データ量を確認すると,違いがわかります。

ほんとだ! ほんとだ! 圧縮方法が違うだけで,0.4MBも差が出るんですね。

そうなのです。 このように圧縮方法が違うと,データ量も変わります。 どちらの圧縮方法にするかは,記憶する媒体のデータ容量との兼ね合いから決めていくとよいかもしれません。

最新の映像技術

ここまで,2次元的な映像である「動画」をみてきました。最新の映像技術について学びましょう。2人は,赤色と青色の眼鏡でみる「3D眼鏡」というものをみたことがありますか?

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あります。眼鏡をかけると飛び出しているようにみえるんですよね。

私もあります。だけど,赤色と青色に画面がみえて,あまり3Dという感じではないんだよね。

そうですね。赤青式の3D眼鏡のことをアナグリフ式といいます。このアナグリフ式眼鏡は,左右の目に赤青のレンズをつけ,映像も赤と青に色分けすることによって,左右の目でみえる映像を変え,脳に3次元だと誤認識させる仕組みになっています。

なるほど〜。

3D眼鏡で,黒色のレンズが入っているものもありますよね?

アクティブシャッター方式とパッシブ方式のものが,黒色の眼鏡を使います。詳しい説明はしませんが,どちらも,左右の目に違う映像をみせることによって,脳に3次元だと錯覚させる仕組みになっています。

なるほど〜。

3次元の映像というと,VRもそうですか?

その通りです。VR(Virtual Reality)は,左右どちらの目も専用のデバイスで覆い,左右の目に違う映像をみせることで,3次元空間にいると脳に認識させる仕組みになっています。3D眼鏡は現実世界でみることができますが,VRは仮想の世界の映像をみることになるので,「仮想現実」とも呼ばれます。

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仮想現実って響きがかっこいいね。

たしかに,かっこいいなぁ。

そうですね。それでは,ホログラフィックについて学びましょう。ホログラフィック技術は,光の干渉や回折を使って,3Dにみせる技術のことです。これは現実世界で,眼鏡のようなデバイスを使わずに3D映像を投影できるようになっています。この技術はまだ研究段階のものが多く,3D眼鏡やVRのように商用化されているものは少ないのです。

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そうなのか〜。

ここまでくるとSFの世界みたいですね。

そうですね。技術の発達により,いままでありえないと思われていたことが,どんどん実現していきます。10年後,20年後にはどのような世界になっているのか,楽しみですね。